イラン政府と米国は一時的停戦で合意したそうです。その後イラン側は再度の海峡封鎖を宣言したりしていますが、以前よりも情勢が沈静化して来た印象を持ちます。また、日本政府は石油ナフサを確保したとも言っています。レアアースの供給に関しても、欧米諸国と連帯する相談が進んでいるようです。もう何も心配しなくて良い・・・でしょうか?
根拠があるわけではありませんが、なんとなく嘘くさい感じがします。 派手に成果を発表して手柄を誇ろうとする人物は少なくありません。あまり疑心暗鬼になりすぎてもいけませんが、しっかり確実な成果が出るまでは、踊らされることのないよう、慎重に見守るべきではないかと思います。
骨粗鬆症の治療の限界
当院に通院中の患者さんの中に、骨粗鬆症の治療を受けている方が何人もおられます。でも、治療の限界や薬の副作用を理解できている方は、おそらくいないようです。
骨粗鬆症の治療マニュアルでは、骨密度の測定や骨折後の再発予防薬の処方が推奨されていますので、病院に行けば医師はそれを勧めざるを得ませんし、患者さんは「先生が勧めるから」と、理解できていなくても治療を受ける、そのような流れがあると思います。
現在販売されている薬で脊椎圧迫骨折は4割、大腿骨で2割程度減ると言われています。ただし、実感としてはもっと再発率が多い気もします。統計のとり方による誤解はあるかも知れません。また、治療による寿命や生活の質に関しての有効性は明らかではありません。骨折が減っても、もともとの体力低下のせいか、長生きにつながらないようです。よく使われるビタミンDやカルシウムのサプリメントも、骨折予防効果、体力維持効果や延命効果がないことが最近報告されました(BMJ2026;393:e088050)。
生涯にわたって骨折を予防できるか、生活の質がどれくらい改善するか、費用対効果がどれくらいかという視点での報告が乏しく、治療の根拠がまだ分かっていないのが現状ではないかと思います。それなのに、ガイドラインでは「この薬の投与が推奨される」と列挙してあるので、処方しないといけないような気になります。表現方法に問題があります。
骨を強くするということは、簡単ではないようです。治療で骨密度が高くなることは滅多にありません。したがって治療中に骨密度を測る意味は、おそらくないと思います。海外で骨粗鬆症の治療を受ける割合は、意外と低めです。多くの国で骨折患者の3割以下しか受けていないそうです。日本は製薬会社の宣伝に踊らされて過剰診療をやっているのかも知れません。
骨粗鬆症の治療薬には劇薬が多く、カルシウムの代謝に異常を来たし、救急治療が必要になることがあります。副作用のため顎の骨が壊死して食事が入らなくなり、そのまま亡くなられる患者さんや、カルシウム濃度の異常のために血液透析が必要になる方もおられます。
腎機能が落ちた方では危険度が高いため、特に注意が必要です。体調の安定した状態では、治療薬の副作用は滅多に出ません。でも急な脱水、緊急事態の際に急変することがあります。ところが急変というのは予測できるものではありません。
まず「骨粗鬆症の治療薬は劇薬」という認識が必要です。病院の先生に言われるがままではなく、骨折の再発を予防する意義と、生活の質や寿命への効果が分からないこと、薬の危険度をバランスにかけて理解し納得したうえで、御家族と相談して対応が可能な方に限定して治療されるべきです。今は皆が勘違いして、安易に治療をやりすぎていると思います。
メトホルミンの作用機序
メトホルミンは2型糖尿病の治療薬で、寿命を延ばすことが分かっており、まず選ばれてきた薬です。でも作用機序に関しては不明な点が多く、専門家でも知ったかぶりで解説していると言わざるを得ないのが実情でした。
最近、新しい報告が続きました。まず脳に作用しているという報告{Lin et al.,Sci.Adv.11,eadu3700(2025)30 July2025}と、ミトコンドリアに作用しているという報告(https://doi/org/10.1038/s42255-026-01530-y)です。
脳に作用しているのは、ごく少量でも効く方がいる点の説明になります。ミトコンドリアに作用すると、代謝を活発にて血糖を消費しそうです。メトホルミンは薬の値段が安いので、少量で効くなら他の高い薬を出す必要がなく、合理的です。第一選択薬と考えて良いでしょう。
ただし、人によって効き具合が異なり、よく効く人と、ほとんど効かない人がいます。今回報告された機序の研究が進めば、治療開始前に個々人の効果を推測することが可能になるかも知れませんが、それはまだ先のことでしょう。
腎機能が落ちてきたら、稀に乳酸アシドーシスという副作用を発症するため、他の薬に変更したほうが安全です。造影剤検査の時も、あまり根拠はないようですが、国内ではいったん中止するのが慣例になっています。
また最近はSGLT2阻害剤を第一選択肢にしてはどうかという考え方が広まりつつあります。内蔵の保護作用があるからです。でもSGLT2阻害薬は結構副作用が多く、まだ価格も高いので、患者さんの負担のことを考えると、今の時点でメトホルミンを選択肢から除外すべきではないと思います。

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